あっちゃんとまっちゃんの話
神田伯山さんと太田さんのラジオでのビーフとか、笑える揉め事は好きですけど、今回のはちょっと笑えはしないですよねー。
あっちゃんめっちゃ責められてるし、「今回の件」だけを見ると僕もあっちゃんがちょっと無茶を言ったように感じます。
まっちゃんは自分が面白いと思っても面白くないと思っても、それを自由に発言する権利はあると思うし、好きに仕事を受けて、好きに企画を立ち上げる権利もあるので、その結果、賞レースがまっちゃん基準に偏ったとしても(僕はそうは思わないですけどそう見えるという意見が成立するとは思います)、仕事の受け方や点の付け方、もしくは他の審査員の選定などにアンフェアな点が無いのであれば真っ当な資本主義のルールに則ってみんなが利益を追求した結果、松本イズムの笑いが支配的になったとしてもそれは別にまっちゃんが責められる筋合いではないんじゃないかな、と。
MicrosoftやAppleが裏から手を回して市場を独占しているなら問題ですけど、真っ当に商品と価格でシェアを締めている事を批判しても難しいでしょう。
あと単純に揉めたり違う意見あるのは全然いいと思うんですけど、今回の動画はちょっと悪意が強くて見ててキツかったですね、僕は。
もうちょっとリスペクトしていて欲しかったかなあ。
というのが元の動画だけで言うと、という所です。正直。
ただここまでの流れは多分歴史的な経緯があるんですよねー。
①パーフェクトヒューマンの否定
事の発端は“あっちゃん的には''ここになるんでしょう。
パーフェクトヒューマンが流行った時にワイドナショーで面白くないって言ってるらしいんですよね。
(これは当時見たような見てないようなぐらいの記憶でなんかそんなようなことは言ってるけどそこまで悪意ある感じだったかなーと調べたら書き起こしとか出てきたので興味ある人はググってみてください。個人的に要約すると「笑わせにいってない、カッコいい事に笑ってしまう」「武勇伝も面白くはない」「エンターテイナーになりたいんだろうね」という内容)
②茂木健一郎さんの「日本のお笑いはオワコン」発言を巡る騒動
コレはさらに細かい順番があって
・茂木健一郎さんがTwitterかな?で「日本のお笑いは下から上へ権力を批判する事がなくて上から下へのものしかないから面白くない」と発言
・まっちゃんが「茂木さん自体が面白くないから刺さらない」と発言
・コレに割って入った形であっちゃんが、「茂木さんが面白くない」という反論の仕方自体が茂木さんが指摘している上から下への形になっている
と発言
ここでなんで急に当事者でもないあっちゃんが出てきたのか、というのが①の件がしこりになっていたから、というのが後々街録chであっちゃんが語っていましたね。
③吉本から謝罪せよという圧力があっちゃんにかかる
この辺はあっちゃんが言ってるだけで裏の取れてない部分も混じるのですが、宮迫さん達の闇営業問題の時に有名になったフレーズの「テープ回してないやろな」はほんとにあっちゃんが吉本との話し合いでテープ回してた事があったかららしいです笑
その辺鑑みるとまあまあな揉め方はしたんでしょうね、恐らく。
④その後のアレコレ
・あっちゃんYouTube大学はじめる
・宮迫さん闇営業問題勃発
・オリラジ吉本退社
・最近になって再びちょこちょこテレビ出演するよう
⑤YouTubeで暗にまっちゃんを批判
あっちゃんとコラボした大物芸人が、さらに超大物芸人から「中田敦彦とコラボした事」を怒られた。
という噂話を聞いた、と。
あっちゃんがYouTubeで話してました。
話の流れ的には多分あっちゃんとコラボした大物芸人はジュニアさんで、超大物芸人はまっちゃんなのかなぁという感じでした。
確証はないですが。
⑥今回の動画
話の要旨としてはthe Secondの感想と言いつつのまっちゃんが審査員やり過ぎで笑いの価値観が狭まっている。という批判ですね。
こう見ると、あっちゃんの話しは単品で見るものではなく、重層的な背景あっての話なんだろうな、、、と言うのは感じるところです。
①のまっちゃんがPERFECT HUMAN評価しなかった、というのはちょっと誤解じゃないかとも思わなくもないですが、これは別にほんとに評価してなかったとしてもまっちゃんの勝手ですよね。
ただ、同じように②の話もあっちゃんの指摘した内容は間違ってはいないと思うし別に間違いだとしてもすごい失礼とかでもないし言うのはあっちゃんの勝手ですよね。
これに対して③が本当にあったなら、それは筋が通りません。②だけ謝罪しなければいけない理由はないように思います。
④の活動内容が僕は好きです。
win-win-winの、西野さん回、宮迫さん回、山本さん回や、オリラジアカデミーでの木本さんの部分など、「世間に(メディアに)めちゃくちゃ叩かれてますけど、そんな悪い事してますか?」と、
YouTube大学での、「創価学会と公明党」「統一教会と自民党」「ジャニーズの性加害」などを取り扱っている事そのものをセットで見ると、既存のメディアに対して「本当に取り扱うべき問題を避け、さほど悪いわけでもない個人攻撃しかしてないじゃないか」という鋭い批判になっていると思うんですよね。
⑤の内容は事実ならまっちゃんが良くないですよね。
あっちゃん自身も聞いた話と言っているしボカされているしで何が本当かはわからない話だなとは思いますが。
⑥に関しては冒頭述べた通りちょっと筋が悪いと思ってます。
ごく個人的な意見としては、①でまっちゃんが言ってる内容って、街録chやあちこちオードリーであっちゃんが求めている内容、"お笑いの形って一つじゃないし、それはそれで認めて欲しい“というまさにそういう内容じゃないか?と思ったんですけどね。
繰り返しになりますが、別にまっちゃんはまっちゃんの基準で面白いとか面白くないとか言ったり思ったりするのは勝手だし、その基準で認められたい、と思う人がその路線で頑張るのも勝手だし、その基準には合わせられないって人は別の路線で頑張ればいいというだけの話だと思うんですよね。
テレビ自体が衰退している以上、その路線本当に合理的ですか?という問いはあってもいいとは思いますけど、極論すれば他人が勝手に滅びる路線にいってるからといってあっちゃんがあんな悪意を持って批判する必要性は無いんじゃないかな。
あっちゃんが攻めるべきはむしろ③と⑤だと思うんです。
まっちゃんが自由なように、あっちゃんにも表現の自由はあるし、ジュニアさんが誰とコラボしても自由。もし③も⑤も事実ならまっちゃんは自分の自由は主張するけど、他人の自由は侵害するダブルスタンダードな人、という事になるし裏でそうやって他者を押さえつけたりしてるのであれば①も⑥もフェアな話ではなくなるのであっちゃんの批判が当たってきますよね。
ここまで書いて思ったんですけどあっちゃんの秘密兵器は③のテープなのかもしれませんね。
あえて無理筋で仕掛けたように見せて、叩いてきた人全員巻き込んで逆転する手段があったりして...
MMTに関する議論の感想。あるいは成田さんにがっかりした話
この話も前回の話と似たような話です。
ちょっと古い話ですが、MMTに関しての議論で、池戸万作さんという方と成田悠輔さんが議論されているのを見た時にも同種の失望がありました。
この議論が成田さんの勝ちであるというのは世間同様僕も同感で、そこに関して異論はないです。
MMTを僕の理解で要約すると、
・日本は理論上、”円”でいくら借金しても、好きなように“円“を刷る事が可能なので、借金が返せなくなる事はありえない
・なので、日本政府は財政赤字の解消を目指さず、経済成長を目指して積極的に国債発行し、政府主導でお金をばら撒けば良い
・但し、日本円を刷りすぎればハイパーインフレになる危険性はあるのでインフレ率を見ながらばら撒きの上限は調整するべき
というのが日本に当てはめた場合のMMTの骨子だと理解しています。
池戸さんの主張はばら撒くの部分が、うろ覚えですけど各家庭に直接配布するベーシックインカム的なものだったと思います。
そしてこの論の根拠として、各国の政府支出と名目経済成長率の折れ線グラフで、政府支出を増やせば経済成長率も結局伸びるんですよ。
という話だったと思います。
これに対しての成田さんの議論で私が印象に残っているのは
①ばら撒かれたお金が全部パチンコに使われたとしても経済成長になるのか
②仮に毎月国からお金がもらえるようになった後で、インフレしすぎだから減らします、が現実的に可能なのか
③池戸さんが示した政府支出と経済成長率の関係は相関関係であって因果関係とは限らないだろう
という3点でした。
③に関してはごもっともですし、世間的にもこの点を持って成田さんの勝ち。という印象なようです。
個人的に②も鋭い指摘だなと思いました。
理論上正しくても政治的に難しい可能性はありますよね。
ズルくないか?と思ったのは①です。
パチンコでお金使ったら経済成長にならないって言い出したらGDPという指標自体の否定になるんですよ。
GDPという指標の有効性を疑うという議論自体はアリだと思います。ですが経済に関しての議論って基本的にGDPどうあげるか?という話なのは前提ですよね?
そこを崩すならその補助線を入れるのは話を持ち出す側のマナーじゃないかなと思ったんですよね。
会社に置き換えたら企画会議とかでこうしたら売り上げ上りますって話をしてる人に、売り上げを上げる事が本当に会社にとってプラスなんでしょうか?という話をするのは別に構わないと思いますけど、これを本当に説得したかったら”売り上げを上げるのが正義と思ってると思うんですけど、そこから一旦疑って議論してみませんか?”という話は疑ってる方が切り出すのがスジじゃないかと思うし、それをせずに相手を説得するのは無理だろうなと。
なぜその補助線を入れなかったのか?は想像になってしまいますが、想像できる可能性の中に成田さんが信用に値する人だけれどこうなってしまった。というパターンは僕は思いつかないんですよね。
川上量生 vs 立花孝志 感想。あるいは知的に誠実であるということについて
すごい色々残念すぎて言いたいことがあってはてなのアカウント作りました。
非常に残念です。
もっとも残念だったのは、こんなにも本質というものは理解されないものか、という点です。
表面的に見た時、確かに川上さんにも良くない点は多かったですし、ディベートの勝者は立花さんとみなされるところまでは理解できます。
が、主義主張を汲み取った時、川上さんには
"暴露するぞ、暴露するぞ、と予告する事は脅迫になる"
"立花さんはガーシーのそれを擁護したり教唆したりしていた"
"つまりは犯罪の片棒を担いだ事にならないか?"
"公共性の高い政治家が脅迫を手段にするのは道義的に問題じゃないか?"
など、ごく真っ当では?と思われる一貫した主張のラインがある事は読み取れました。
立花さんはこの論旨に対して、
“脅迫にはならない“
“脅迫の可能性はある“
"ガーシーの擁護はしている''
"私人としてのガーシーの活動に監督責任はない“
"ガーシーの暴露は政治“
“犯罪を犯してもよい“
"道義的に問題があるかどうかは個人の判断“
“犯罪かどうかは訴訟すればわかる“
などなど、割と支離滅裂と言うか、枝葉において一理はあるとは言えると思いますが、一貫したラインは読み取れなかったし、申し訳ないのですが多分無いんだろうと...
ちょいちょい引っかかる部分があったのですが、一例をあげると最初のやり取りで
川上:“ガーシーのしている事に対して、立花さんは刑事的にはともかく道義的に責任がないか?“
立花:"道義的にどうかは個人の判断"
川上:"では貴方の道義は?“
この流れの川上さんの質問の趣旨は、"ガーシーのやっている事を貴方は道義的にどう認識しているのか?ガーシーと様々に関与してきた貴方自身の行動を道義的にどう認識しているか?"
という趣旨であろう事が文脈から読み取れないはずはないと思うし、コレが読み取れないのだとしたら川上さんのことを散々バカだと言ってましたがどちらかというとご自身の読解力に問題があるのでないでしょうか。
ここで”私の正義はNHKから国民を守る事だ“と答えたのは恐らく質問の意図を理解した上であえて無視して噛み合わない回答をしています。
この時点で、立花さんの目的は川上さんと話して川上さんの話を一部なり理解して自分の話も一部で良いから川上さんに理解してもらって、というような目的では無い事が見てとれます。
非常に残念なのは、このやり口、つまり相手の論旨を敢えて誤読して印象的に言い負かしたように見える側が勝者に見える。が、どんどん一般化してきている風潮です。
こんな事が上手い事が知性の証明になるという考えが常識化されようとしている事に私は同意できません。
目の前の対話相手の論旨を敢えて無視して、視聴者に向けてのパフォーマンスを優先する。
という行為は、「見ている側はどうせそんな事には気づかない」というのを前提にしていますよね。
コレを前提にしている側を勝者とする。
というルールに同意するなら議論とはつまりバカをたくさん騙した方の勝ちだ、というルールに同意する事になります。
個人的に、NHKをどうにかするべきだという立花さんの主張には同意できますが、NHK問題の解決より深刻な解決すべき社会問題は「論理的である事、相手の意見を受け入れる度量がある事、自身の過ちを認めたり正したりする知的に誠実である事」が社会的に不利になる(平たく言えば正直者が馬鹿を見ると言っていいです)事の方が問題だし、逆にここが解決すればそれ以外の問題はいずれ解決するだろうと希望を持つ事ができます。
別に僕は川上さんの肩を持つつもりはないです。着メロの配信とニコ動の人ですよ。
少なくとも知財系に関しては法律的にスレスレのラインをついて成功してきた人だという印象で、KADOKAWAからは逮捕者も出ている以上、別にクリーンで全て正しい人だと思ってはいないです。
ただあの対談で立花さんが言っている事がよくわかった。彼がなぜKADOKAWAや川上さんに対しての脅迫と捉えられるような行動を取る側に立ったのか、自身の立ち位置や行動に関してどんな正当性を持っていると考えているのか、理解できたというのは本当に意味がわからない。何も言ってないと思うんです。
皆さんもういい加減に自分をバカにしている人間を持ち上げるのはやめにしませんか?